スウェットの生地は編み機という機械によって編まれています。

スウェットだけでなく、Tシャツなどの生地をメリヤス生地といいますが、メリヤス生地とは機械で編んだ生地のことです。メリヤスを作るのに欠かせない編み機の存在は、一般的にはあまり知られていません。

スウェットに関していえば、「吊り編み機で編んだ」という製品説明をよく見かけます。
吊り編み機とはどういう編み機なのでしょうか。吊り編み機以外の編み機にはどのようなものがあるのでしょうか。

編み機について

編み機のいままで

編み機が誕生したのは1589年、イギリスのウィリアム・リーという牧師が靴下を編む機械が最初でした。それまでは、編み物は手編みでしかできませんでした。

編み機によって編み物の生産効率は一気に高まります。大きな生地や、ハイゲージの生地、複雑な模様の編み生地を作れる編み機が開発されていきました。
編み機はコンピュータシステムも組み込み、大量生産できるようになりました。

1995年には、島精機製作所により、ホールガーメントという編み機が開発されます。ホールガーメントはいままでの編み機とは違い、生地ではなく、一着の服をまるごと編むことができるのが特徴です。
これにより裁断縫製の工程が省けコストが減るのに加え、縫い目のないニットを作ることができるようになりました。

編み機はこのように進化を続けてきたのです。

スウェットと編み機

吊り編み機とは

吊り編み機は、1時間に1mしか編めない、古くから使われている編み機です。1816年にフランスで開発されました。ヴィンテージスウェットの多くは、この吊り編み機で編まれています。

吊り編み機は現在生産されておらず、世界的にも数が少なくなった編み機です。日本の和歌山県の工場は吊り編み機を保管・運用する希少な存在として注目されています。

吊り編み機で編む生地は、糸によけいな力がほとんどかからず、ふっくらとした仕上がりになるのが特徴です。耐久性にも優れています。
吊り編み機製のスウェット生地は品質が高く、ヴィンテージスウェットの生地を再現するのにも適しています。生産性効率が悪くても、多くのスウェットメーカーがこぞって使用する人気の編み機になっています。

トンプキン編み機

旧式の編み機は吊り編み機だけではありません。吊り編み機に似て非なる「トンプキン編み機」という編み機があります。

トンプキン編み機は、1847年にモーズメラーが開発しました。吊り編み機と同様に1時間に1メートル程度のゆっくりとしたスピードでしか編むことができません。
トンプキン編み機も、現存する数が少ない希少な編み機です。
吊り編み機と異なり大きな特徴があります。それは、生地を下から上へと編み上げることです。重力に反して生地が機械の上方に編み上がっていくのです。
この重力に逆らった動きが、生地を柔らかく仕上げるといわれています。

シンカー編み機とは

旧式編み機と対比されるシンカー編み機とは何でしょうか。

シンカーとは編み機に使われる一部品の名称です。薄い金属の板で複雑な形をしています。この部品が使われる編み機をシンカー編み機と総称するようです。

おわりに

編み機はコンピュータの力によって進化しています。いまはまだ旧式の編み機に劣る品質も今後改善されるでしょう。
スウェットを始めとしたメリヤス製品はライフウェアとして欠かせない存在です。メリヤス製品の大事な裏方である編み機に、今後も注目してみてください。