ヴィンテージスウェットとアインシュタイン
ヴィンテージスウェットは古着の中でも人気のあるアイテムです。

古着屋ではたくさんのヴィンテージスウェットが扱われていますが、どのような違いがあり、何が人気なのでしょうか。

ヴィンテージスウェットのディティール

1930年代のヴィンテージスウェット
クルーネックに、襟元にはガゼット、襟と裾・袖にはリブのついた、プルオーバートップス。これがスウェットの一番スタンダードな形です。

1920年代には、スタンダードな形はできあがっていました。それから約100年の歴史のなかで、スウェットにはさまざまなアレンジがされてきました。

スウェットの「ガゼット」「スリーブ」「リブ」にはどのような種類があるのでしょうか。

ヴィンテージスウェットのアイコン「ガゼット」

ガゼットのついたヴィンテージスウェット
襟元の逆三角形のリブのパーツは「ガゼット」といいます。

ガゼットは、汗を止めるために付けられたため、「汗止め」とも呼ばれます。

むかしのスウェット生地は伸びが悪かったので、襟もとの伸びをよくする目的もありました。

現在は、スウェットのアイコンとして、多くのスウェットにデザインされています。

ガゼットの種類
「ハメコミ」
ハメコミガゼットのスウェット
ガゼットが本体の生地を切りとったところに、はめ込んで付けられているタイプ。初期に作られたものが多く、数が少ないため人気が高い。

「ハリツケ」
ガゼットが本体の生地の上に重ねて縫い付けられているタイプ。

「前V」
ガゼットが前だけにつけられているタイプ。

「両V」
両Vガゼットのスウェット
ガゼットが前と後ろの両方につけられているタイプ。前Vより数が少なく人気がある。

袖の付け方「スリーブ」

セットインスリーブのヴィンテージスウェット
ヴィンテージスウェットは、袖の付け方にも種類があります。スウェットは運動用に作られたので、より腕を動かしやすいように工夫されているのです。

袖の付け方が違うと、着たときの肩の落ち方が変わります。シルエットを左右するので、デザインとしても重要なポイントです。

スリーブの種類
「セットインスリーブ」
袖が、肩に対しまっすぐ直角に付けられているタイプ。一番スタンダードなタイプ。

「ラグランスリーブ」
袖が、襟から脇の下にかけて斜めにつけられているタイプ。

「フリーダムスリーブ」
袖が、襟からS字を描くように曲線で縫い付けられているタイプ。腕が一番自由に動かる。

<その他> 「脇ガゼット」
脇ガゼットのヴィンテージスウェット
袖の下、脇の部分に三角形にガゼットが付けられているタイプ。

襟・袖・裾の「リブ」

ハリヌキリブのヴィンテージスウェット
ヴィンテージスウェットの襟・袖・裾には、ゴムのように伸縮するリブが付けられています。

リブは、運動時に激しく動いても、めくれにくいように付けられました。

スウェットのリブはセーターのリブとは違い、あまり凹凸がないのが特徴です。

変わったリブ
「ハラマキ」
裾のリブが腹巻きのように長く付けられているタイプ。2〜30年代の初期のヴィンテージスウェットで、数は少ない。

「ハリヌキ」
セーターのリブのように、凹凸をつけたタイプ。編み機の針を間引きして編まれる。

ヴィンテージ「パーカー」

後付けフードのヴィンテージパーカー
フードがついたスウェットを「パーカー」といいます。ヴィンテージパーカーはどこをチェックすればよいのでしょうか。

パーカーを最初に作ったのはチャンピオンでした。パーカーは寒冷地の労働者のために作られた、スウェットから派生したアイテムで、寒さ対策の工夫がされています。

ヴィンテージパーカーのポイント
「後付けパーカー」
パーカーの原型。最初期に作られたパーカーのフードは、クルーネックのスウェットに後から縫い付けただけのものだった。製造期間が短く、希少価値が高い。

「ダブルフェイス」
生地が二重になっていること。セーターに匹敵するような保温性。裏地はスウェット生地のタイプとサーマル生地のタイプがある。

「カンガルーポケット」
お腹に付けられたポケット。実はポケットではなく、ハンドウォーマーとしてつけられた。

ヴィンテージスウェットの色

ごま塩のヴィンテージスウェット
スウェットというとグレーのイメージが強いですが、ヴィンテージスウェットはグレー以外にも、カラフルな色のものがたくさんあります。

ヴィンテージスウェットの色はどのようにチェックすればよいのでしょうか。


染色の種類
「先染め」
生地にする前の段階で染色すること。

「後染め」
生地になった後で染色すること。スウェット生地では、裏毛も表側と同じ色になる。


カラフルなスウェット
「クレイジーパターン」
左右非対称で、マルチカラーなデザインのスウェット。2〜30年代の古いヴィンテージスウェットに多く、襟・袖・裾のリブとスウェット生地の部分や、腕と胴体が違う配色になっている。

「チームスウェット」
チームウェアとして、カスタムオーダーでチームカラーのスウェットが多く作られた。例えば、アメリカ軍の訓練用に作られたスウェットはネイビーブルー。

「ナス紺」
紺色が退色して、茄子のような紫色になったヴィンテージスウェットの色。経年変化による色あせの風合いが、ヴィンテージ特有のものであり人気が高い。

「霜降り」
霜降りのヴィンテージスウェット
白と灰色の二色の先染めコットンを混ぜて一本の糸にすることで、まだらなグレーの生地になる。白が強いと、霜降り肉のようにサシが入って見えるので、「霜降り」という。

「ごま塩」
ごま塩のヴィンテージスウェット
霜降りと反対に、白に対し灰色が強いと、ごま塩のようなので「ごま塩」という。カーディガンタイプのごま塩のヴィンテージスウェットは人気があるアイテム。

プリントスウェット

ラバープリントのヴィンテージスウェット
ヴィンテージスウェットのプリントアイテムは、数も多く、種類もさまざまです。

ヴィンテージスウェットのプリントはどのようにチェックすればよいのでしょうか。


プリント方法
「水性プリント」
水性インクを使ったプリントで古くから使われている技法。水性のインクは生地に染み込むため、「染み込みプリント」と呼ばれる。

「ラバープリント」
ゴム樹脂を使ったプリントで生地に張り付いているようにみえる。ラッセルアスレチックが開発したもの。


「レタープリント」(ロゴプリント)
「カレッジプリント」
チームのシンボルマークやチーム名がプリントされている。大学のスポーツチームなどがチームウェアとして作ったもの。

「ミリタリープリント」
軍の訓練着用に作られた。”U.S.A.N”などチーム名のイニシャルがプリントされただけのシンプルなヴィンテージスウェットもある。


その他の人気プリント
「キャラクタープリント」
ミッキーマウスやスヌーピーなど定番のキャラクターをはじめ、チームのオリジナルキャラクターなど、ユニークなキャラクターが人気。

「雪柄プリント」
幾何学模様でデザインされた雪の模様が、襟から半円状に水性でプリントされている。ノルディックセーターのような、スウェットでは珍しいデザイン。